回転木馬

1995年の東宝公演が大好きだった。銀河劇場版のこの作品の上演を知ったときは、東宝版のイメージを崩したくなくて、観ようかどうしようか迷っていた。偶然、初日のチケットをお安く手に入れることができて行くことに…。
一幕始まってすぐに東宝版とは全く別物だと分った。これはこれで楽しもう、と。ただ、セットと演出が酷い。シンプルなセットのせいで、ストーリーの進行がどうなってるのかも分りにくく、また、音楽が途切れることが多く、音のない舞台に、台詞だけが響くシーンが多く、その間の悪さに1幕は眠ってしまいそうになるほどだった。2幕はそれでもストーリーの進展と共に次から次へとシーンの展開があるので、楽しむことができたが。
東宝版と比較しながらまずはスタッフ…
演出
東宝版はニコラス・ハイトナー氏。「ミス・サイゴン」でもお馴染み。銀河劇場版はロバート・マックイーン氏。東宝版はセットがまだ豪華だったから視覚的に補填されることが多かったが、今回のシンプルなセットでは役者の実力(芝居力)が勝負。メインキャストすら芝居が出来上がってなかったみたい。段取りどおりに動き、喋ることで精一杯だったみたい。彼がアンコールで舞台上に上がったが、客席後ろでくしゃくしゃの白い紙を関係者に渡してから舞台へ向かっていた。きっと多くのダメだしが書かれているんだろうなぁ…。
訳詞
東宝版のイメージを崩したくない理由の一つが歌詞にある。舞台を観て、CDを聴いて、すっかり東宝版の歌詞が刷り込まれいる。宝塚版と東宝版の「ミー&マイ・ガール」の歌詞の違いにもがっかりしたが、今回もやっぱり。東宝版は岩谷時子、そして、銀河劇場版は森雪之丞。別に森氏の訳が悪いわけではないのだが…。

続いてキャスト…

ジュリー・ジョーダン
東宝版の鈴木ほのか、涼風真世よりかは、年齢的にはぴったりな笹本玲奈。が、何か不自然。今まで彼女が演じてない役だからか?自分の言葉としての台詞になっていないような…。現年齢に近い少女時代より、母となった15年後のほうがしっくりくるのはなぜか?

ビリー・ビグロー
東宝版の宮川浩と石川禅。お2人とも役には合っていたと。今回の浦井君。何だか作り過ぎな印象。あの長髪も前を肌蹴たシャツの着方も気になって仕方がない。良い人が悪く見せるようにしている雰囲気を作るためなのかな?ストレートな発声で聴いてみたい。

イーノック・スノウ/キャリー・ピパリッジ
東宝版、林アキラと吉岡小鼓音(東宝版の岸田智史佐渡寧子は未見)に軍配!坂元健児は単なるコメディリリーフになってるだけで、キャリーとの家族が想像できない。はいだしょうこも高音が出てないし、芝居も変!?あれが演出なら酷いキャリーだわ。東宝版はもっと意思のある強い女性だったはず。今回、2人の子供が一人しか出ていない。そして、そのイーノック・スノウ・ジュニアはオーディションだったはず。それなのに俵和也が演じていた。あ!確かに20代だからオーディション受けられるんだ!まさかね…。

ジガー・クレイギン
東宝版は市村正親、早川正。そして、銀河劇場版は川崎真世。別に誰が良いとか悪いとかはないのだが、ただ、今回の演出ではジガーが目立たないのだ。せっかく川崎真世を出すなら、東宝版演出で出演して欲しかった。

ネッティ・ファウラー
東宝版は荒井洸子(清水菜穂子は未見)。魅力的な歌声と迫力あるお体(失礼…)で熱唱していたのが印象的。それが銀河劇場版では安奈淳になるとは…。ネッティの曲は全然彼女のキーに合ってない。自身でも分っているはずだ。何で引き受けたのか?今回のキャストで最も納得できないキャスティング。

カーニバル・ボーイ
キャー!こんなチョイ役に西島千博さんが出演するなんて!でも、楽しそうに演じてるので良かった。東宝版は森田健太郎と李波。ルイーズに比べてあんまり印象に残ってないのだ。でも、お2人ともバレエを続けているようですね。

ルイーズ
玉城晴香って誰?おいくつ?ダンスは良いんだけどお顔が…。東宝版は 下村由理恵と宮内真理子。まだこのお2人のほうが可愛かった。3人の共通点は演技が下手なこと。突然、棒読みの台詞になって驚きます。今回の改悪の一つ。ルイーズの好きな台詞がなくなった。ビリーにぶたれて(東宝版は顔、銀河劇場版は腕)、家にいるジュリーに言いつけに。そして、2人で家から出て来て、ルイーズがジュリーに言った台詞。「ぶたれたの。でも、痛くなかった。」(若干の違いはあるかもしれませんが…)


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